収蔵品の紹介


禪地玉冊と玉嵌片
禪地玉冊と玉嵌片

禪地玉冊と玉嵌片

 「封禪」とは古代皇帝固有の式典制度のことで、皇帝が泰山に祭壇を作り地の神様を祭るという意味です。徳のある君主のみが「封禪」を行う資格があるとされ、祈祷文を楷書で玉の上に彫りこみ、その後金の漆が塗りこめられました。この玉冊は計16枚の青白色閃玉で作られており、一枚一枚金の線でつづられています。

 論議が交わされたとされるのは祈祷文の内容で、「封禪」を行った帝王が自分の偉業功績を記述しているだけでなく、不老不死を願っているといった点があげられますが、これは考古学的にも非常に珍しい文献とされています。

 玉冊の他に、計52枚の正方形、長方形、台形の玉片も同時に出土しました。これらの玉片には、主に龍、鳳、雲気紋の装飾が施されています。史書の記載によると、玉冊を収めた容器を玉匱といい、これらの玉片は玉匱のパーツだったと推測されます。

 1931年に、中国のある将軍が山東省の泰安に駐屯した際に、五色の土の祭壇を発見、さらにその中から玉冊が2セット発見されました。この玉冊の出土により史書の不足分と間違いを補足することのできるようになったという点で、非常に貴重な史料であると言えます。


翠玉白菜

清明上河圖

 玉は中国5千年の歴史の中でもずっと重要な位置を占めてきました。翠玉白菜は本来永和宮に陣列されていたものです。永和宮とは清時代の末期に瑾妃が住んでいた宮殿で、翠玉白菜は瑾妃のお嫁入りと共に永和宮へやって来ました。白菜は清廉潔白(お嬢さんの純潔)を象徴、キリギリスは子孫繁栄(多産)を象徴しています。

 永和宮では花形の小さなエナメル製の器に陳列してあり、またより美しく見せるために根元のところに小さな赤い珊瑚霊芝をあしらえてありました。

 こういう組合せは、俗っぽい感じがします。かといって白菜は草花ではなく野菜類なので、植木蜂や花瓶にさした形で展示するわけにはいかないし、また霊芝は樹根の近くに成長しますが、白菜の下に生えるという事実はないということも踏まえて、故宮博物館ではこの作品を単独で展示することにしました。

 「翠玉白菜」は世界的に有名で故宮に来たら見逃せない収蔵品の一つです。「翠玉白菜」は、天然の翡翠と玉の混ざり具合を巧みに利用した繊細な彫刻で翠玉巧彫の最高傑作と言われています。

 ※本来白菜の上にとまっている虫は2匹のキリギリスだと思われていましたが、故宮が特別に有名な昆虫学者に鑑定依頼して研究を行った結果、一匹がキリギリス、もう一匹がイナゴだと発見されました。


玉琮 (良渚文化)

玉琮 (良渚文化)

 玉琮とは新石器時代の晩期の重要な礼器のことをさします。この玉琮は物によりそれぞれ高さが違いますが、大きいものは49センチもあります。基本的に四角の柱状になっていて、その柱の中央は丸くくり抜かれている構造になっているため、背の低い玉琮はまるで腕輪にしか見えず、一見礼器に見えない物もあります。

 この方形は昔の中国人の宇宙観を反映したもので、現世と神祇(天の神と地の神)の世界が通じていることを象徴しているものではないかと思われます。故宮博物院所蔵の玉琮は、全部で17節の外壁があり、 各節には「冠」「鼻」「目」を表すシンプルな「面紋」が四つづつ付いています。

 この玉琮は良渚文化の一種に属し、世界中で第三位の高さを誇る玉琮です。ちなみに大英博物館の収蔵品は、49.5センチ。大陸歴史博物館の収蔵品は、49.2センチです

 世界第三位の高さもさることながら、故宮博物院のこの玉琮には大きな特徴があります。それは、トップの部分に一種の「暗号」(人と神が通じる暗号)ではないかと推測される符号が隠されているのです。装飾であるならば、もっとはっきりと表現されるべきですが、細く浅い断続的なこの線は簡単には発見できません。


玉鷹紋圭

玉鷹紋圭

 玉は中国でずっと、神との交流のための媒体とされてきました。中国の人は玉の上に文字を刻むと神様との交流ができると信じていました。古代、この玉圭は権力を持つ主祭者が使用していました。

 この玉は細長い長方形で、クワの形をしています。両面には繊細な紋飾が刻みこまれていて、一方の面の上方には鷹が天に向かって羽ばたいている様子が刻んであり、これは神の猛進さを表しています。もう片方の面には、抽象的な模様がほどこされており、正面中央上部には「介」の文字が鎮座しています。

 玉は中国五千年歴史の中で最も重要な礼器の一つだと言えます。玉は裕福を意味し、身分を象徴するだけでなく、宇宙の神秘の力をも表します。この玉圭は工具、もしくは武器の形態をしていたものが礼拝用の礼器に変化した例です。
 この器身の上下段には清乾隆皇帝の時に追加で彫刻された詩と丸い印が見られますが、なんと加工の際に上下を逆さにして彫られてしまったため、展示の際に鳥の模様が逆に広がる形になり、ちょっとした鑑賞ポイントとなっています。

※研究員鄧淑蘋さんの熱心な研究の末、この器の片面に約1平方センチメートルの大きさの人の頭が彫刻されていることが分かりました。この人は船の形をした帽子をかぶり、巻き毛の長髪を跳ねさせているばかりでなく、目や耳、口などの細部に至るまで細かく彫刻してあるそうです。


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