毎年4月から5月にかけて台湾の各地で油桐(アブラギリ)が見頃を迎えます。この植物は台湾では桐と呼ばれ、日本では油桐と呼ばれます。油桐の特徴は真っ白な花が一斉に咲くこと。山肌を白く染め上げる様子を見ると思わず感嘆の声が上がります。
油桐が台湾各地にある理由は種子から取れる油と早い成長にあります。この油には毒性があり、古来より害虫や湿気を防ぐために塗料や油紙の材料として盛んに使われてきました。20世紀になるとこの油にペンキとしての有用性が認められて世界中の軍事・機械工業で需要が高まり、中国などで油桐の生産が拡大しました。日本統治時代の台湾でも日本人によって中国や東南アジアから油桐を持ち込み栽培が行われるようになりました。これらは主に軍事産業向けに栽培されたと考えられています。1960~70年代になると台湾政府が油桐の栽培を奨励し、木材として主に日本に輸出されるようになりました。このような歴史を経て台湾各地に油桐の栽培が広がっていきました。
油桐の栽培は主に客家人の手によって行われ、現在でも客家の集落近くに油桐が群生しています。そのため油桐が咲く時期には「客家桐花祭」などと呼ばれる催しが各地で開かれ、日本の桜の花見のような賑やかさになっています。
観光地の多くは山の中にあるため公共交通機関でアクセスしにくくなっています。台北市内から最も簡単にアクセスできるのは土城で、台北駅から桐花祭会場に近いMRT永寧駅までは乗り換えなしでおよそ23分。お祭期間中の土日はMRT土城駅や永寧駅から会場まで専用のバスが往復していて気軽に桐花を観賞することができます。
最終更新日:2011年5月17日
取材は2011年5月に行いました。
内容が古くなっていることもありますのでご了承ください。