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台北日和 2005年4月20日
九分茶坊

※台北日和の記事は遡及調査をしていないので、現状と異なることがあります。

 セピア色の古い映画の中に足をふみいれたような、しっとりと落ち着いた気分になれる町、九分。茶芸館が多いことでも知られていますが、今回ご紹介する九分茶坊は町の歴史を見守ってきた老舗中の老舗。「茶、陶、画」を楽しめる、すてきな空間なんですよ。

 古きよき時代の空気を感じさせると人気の九分ですが、かつて「小上海」「小香港」と呼ばれたはなやかな時代があったことをご存知でしょうか?9軒しか家がなかったから"九分"と呼ばれるようになったなんて説があるように、かつての九分は人家もまばらな田舎町でした。しかし100年ほど前に金鉱が見つかると、人や金が一気にこの小さな町に押し寄せ、「一流品は九分へ、そうでない品は孟甲(※)(現在の萬華)へ」と言われるほどの賑わいに。九分茶坊の建物も、この頃に建てられたお金持ちの洋館「翁山英故居」がベースとなっているんですよ。

 戦後に金鉱が閉鎖されると、九分の町はその繁栄が嘘であったかのように静まりかえりましたが、その静けさが芸術家たちに愛され、非情城市をはじめとする映画や、ドラマのロケ地として利用されるようになりました。またここにアトリエや画廊を構えるアーティストも現れはじめ、そのうちの1人が九分茶坊のオーナー、洪志勝さんだったのです。

 「翁山英故居」のレトロな雰囲気、また海と山を見下ろす絶景に一目ぼれした洪さんは、この贅沢な空間をみんなで共有したいと茶芸館を開くことを決意しました。 アンティーク家具が並ぶ店内は、建材や雰囲気をできるだけ残すように改築されています。 木枠の窓から差し込む日の光と室内の影のコントラストはどこかやわらかく、ランプの光を眺めながらお茶を飲んでいると、ふと、100年前の人々の声が聞こえてくるような気がします。 この家に住んでいた人たちは去ってしまったけれど、窓から見える海と山の風景は100年前と同じ・・と、センチメンタルな気分になるかもしれません。

 「茶、陶、画」がテーマというだけあり、九分茶坊ではオリジナルの陶器を買うこともできます。オーナーの奥様が日本人ということもあり、日本人好みの美しさ、使いやすさを追求した茶器セットは海外からも注文がはいる人気商品なんですよ。併設された画廊では、オーナーをはじめとする台湾人作家の絵を展示販売しており、台湾の思い出にと買い求める人が多いのだとか。九分100年の歴史と、お茶、陶器、絵が楽しめる茶芸館。九分へお越しの際には、ぜひ寄ってみることをお勧めします。

※九分の“分”には、人へんがつきます([イ+分])
※“孟”甲の漢字には、それぞれ舟へんがつきます([舟+孟][舟+甲])

【九分茶坊】
住所:台北県(現新北市)瑞芳鎮基山街142號
電話:(02) 2496-9056
営業時間:月〜木/9:30〜22:00、金・土/9:30〜02:00、日/9:30〜24:00
定休日: 旧暦の大晦日
HP:http://www.jioufen-teahouse.com.tw/

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