2004年3月15日
極簡カフェ

※台北日和の記事は遡及調査をしていないので、現状と異なることがあります。

 路地裏を散策していると、ふと視線を感じました。見上げると塀の上には一対の金色の目。すとっ、と地面に飛び降りたその虎猫は、ついて来いとでも言うように、こちらを振り返りつつ一軒の家屋の中へ。その家は・・・猫が詰まった空間だったのです・・。

 すでにお気づきの読者も多いかとは思いますが、旅々台北のスタッフには猫好きが揃っております。なにせ「台北猫パラダイス あなたはもう日本に帰れない!?」なんて特集を企画してしまうぐらいで、おかげさまで猫目当てに台北を訪れる人も増えたとか。路上の猫にはかならず挨拶、西に新しいペットショップがオープンしたと聞けば駆けつけ、東に看板猫がいる店があると聞けばマタタビ積んで車を飛ばすという生活の中で、見つけましたよ、極上の猫カフェを!

 場所は台北市の南部、師範大学近所の細い路地裏。一軒、バーかと思うようなシックな入り口ではありますが、前庭には兄弟と思しき薄茶色縞の猫たちが、お互いを枕にして優雅にお昼寝中。しかし、人が近づくとつまらなそうに目を開き、かまおうとする人間を店内へ誘導しようとするではありませんか。これぞ真の招き猫・・・。

 打ちっぱなしのコンクリートの壁に、モノクロームの写真。木のカウンターの前には白いスツールと、けだるいジャズが似合いそうな店内のインテリア。鉄や石を使ったモダンなオブジェが、大人のムードを演出しています。しかし、なによりもこのお店を印象付けているのが・・・・「隙間に詰まった猫」。スピーカと壁、食器棚と天井、椅子とテーブルの間といった、あらゆる“隙間”に、むっちりと詰まっているのです。そしてカウンターの上には大きなタビー柄と、ほっそりしたキジトラが2匹・・。店を訪れたのが夕方だったせいか、みな、そろって熟睡中。コーヒーの香りが漂う薄暗い空間の中に、規則正しく胸を上下させ、スピー、スピーと、かすかな寝息を立てる猫が、いち・・に・・さん・・・見えるだけで6匹も。先ほど案内してくれた子も、気づくと椅子の上で香箱を組んでいます。

 著名なミュージシャンで、作家でもある張永智がこの店のオーナー。「1日の計はアフタヌーンティーにあり」が信条の彼は、文学者や芸術家が集まるサロンのような店にしたいと、極簡カフェをオープンさせました。そして“店で一番大切な存在”である猫たちは、店の外から通ってくる子たちを入れると、10匹を超えるのだとか。薫り高いエスプレッソを前に、長編小説を飲みつつ、時折、傍らの猫をなでる。そんな静かな時間が楽しめる、大人の猫カフェでした。

【極簡カフェ】
住所:台北市泰順街2巷42號
電話:(02)2362-9734
営業時間:11:30〜02:00 年中無休
交通:MRT台電大樓駅より徒歩10分


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