徐秋宣
1958年生まれ。台中をベースに鉄を使った芸術活動を行い、国内外の展覧会に出展。また、1986年に洋服ブランド『小雨的兒子』を設立。アジア伝統の、自然の色彩に染め上げられたシンプルな服は、天然素材のみを起用。女性の体の美しさを、より引き立ててくれると好評です。東京や上海など海外への出店も計画中。



鉄と布
硬さとやわらかさを自在に操るアーチスト
 シンプルだけどおしゃれ心のあるカッティング。そしてどこかなつかしい、自然な色に染め上げられた美しい生地。女性ならではの体の丸みを、より美しく見せてくれるシルエットが評判の『小雨的兒子』。一度着ると、その快適さに虜になると人気上昇中です。

 「私が使うのは麻やコットンなどの自然の素材だけ。そして、色はアジア伝統の自然色を研究して、毎シーズンごとに取り入れています。もう色は300色を超えましたよ」

 『小雨的兒子』のコンセプトは、あくまでも"自然"。自然が持つ色の美しさ、生地のすっとなじむ肌触り、そして女性が持つ自然な美しさを追求していきたいと、オーナーデザイナーである蔡志賢さんは、言葉を選びながら、ぽつり、ぽつりと語ります。

 


大切なのは心地よい"空間"
 「デザインを考える時には、体と服の間の空間に注意して、一番心地よい空間を作り出すことを大切にしています。体にぴったりしすぎていてもダメだし、たるみすぎていても美しくない。この一番心地よい空間をどう表現するか。これには、まだまだ研究が必要です。」

 『小雨的兒子』で扱うのは、女性物と子供服のみ。ぜひメンズラインをとの声も高いのですが、まだ男性に関しては、服と体が作り出す空間について、納得がいく研究ができていないのだとか。この職人的な頑固さは、彼のもうひとつの顔が鉄をモチーフにしたアーティストでもあることを知れば、納得がいくかもしれません。

 「鉄という硬い素材を通して芸術的な活動をしていましたが、18年ほど前に、ふと、やわらかい布に興味を持ち、『小雨的兒子』を設立し服作りをはじめました。鉄と布という、正反対の素材で表現活動を行うことは、とても難しいのではと聞かれますが、素材は違っても、私にとってはデザインも、表現方法も一緒なのですよ。布だと・・・色を織りまぜることができるのが、鉄との大きな違いかな。」

 


へそ曲がりな芸術家
 『小雨的兒子(小雨の子供)』は、冬の台北をイメージしたネーミング。台北では寒い時期に、雨より細かく霧よりも大きな粒の雨が降ります。それを台湾語で「小雨的兒子(小雨の息子)」と表現するのを気に入った蔡志賢さんが、ブランド名に採用したのだとか。トロピカルな台湾で、あえて寒い冬をブランドイメージにするなんて、鉄と布という組み合わせといい、ちょっとへそ曲がりなのかもしれません。

 「はは、そうかもしれません。作品のインスピレーションについても、ある日、天からの声が聞こえてくるというような、いかにも芸術家的なストーリーは信じないし、好きではないですからね。デザインやアイデアというものは、日常生活と毎日の思考の積み重ねによって出てくるもの。一種の訓練なのだと、私は考えます。」

 各店舗のインテリアデザインおよび店内の鉄アートは、すべて蔡志賢さんの手によるもの。この日も台中のアトリエで作り上げた新作の鉄製トルソーや、ハンガーラックを搬入し、どの服を飾ればより美しさが引き立つかと、あごに手を当て、思案しています。そしてその手の指が長く、なんと美しいこと。まさに芸術家の手、なんて呼んでしまうと、いえこれは日々の仕事の結果なのです・・と叱られてしまいそう。

 『小雨的兒子』では洋服に加え、『五月初三』というブランドで帽子と子供服を展開中。この名前は、お母様が亡くなった日と息子さんが生まれた日が5月3日だったことに、奇妙な縁を感じてつけたとのこと。また、知り合いのデザイナーとのコラボレーションによるアクセサリー、靴、皮製のバッグも販売をスタート。商品の種類を増やし、トータルコーディネートができるようにしたいのだとか。これからも目が離せない、注目ブランドです。

●ショップ
住所:台北市大安區泰順街60巷29號1樓(師範大学店) 電話:02-2365-3897 營業時間:11:30-21:00
※誠品書店の店舗は閉店しました。(2007年01月22日更新)

●ファッションショー

2004年11月頃に、台中でファッションショー開催予定。

●参考価格
ワンピドレスNT$8,500、スカート・パンツNT$2,800〜 、タンクトップNT$2,800〜、帽子NT$280〜NT$1,280


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協力:経済部工業局(民生化工組)
台北遊透隊調査報告書 No.008