「深海 Blue Cha-Cha」鄭文堂監督インタビュー

8月19日より、高雄を舞台にした台湾映画「深海  Blue Cha-Cha 」の公開が日本ではじまります。
旅々台北ではこのたび鄭文堂監督に単独インタビューを敢行。監督ご自身について、また映画と高雄の魅力についてお話をうかがいました。

■・・・インタビュアー ■・・・鄭文堂監督
 

高雄を映画の舞台に選んだ理由は?

−このたびは「深海  Blue Cha-Cha 」の日本公開決定、おめでとうございます。

ありがとうございます。5月には出演者のリー・ウェイと一緒に、 PRのため日本にも行ってきたんですよ。

−台湾映画と言えば台北が舞台のものが多いのですが、「深海  Blue Cha-Cha 」では高雄。高雄を舞台に選んだ理由は?

「深情似海・・海のように深い愛」。これが今回の映画のモチーフになっています。そのため海と港、また、女子刑務所や工場などが集まっている高雄は、まさに理想的なロケ地でした。高雄市政府が映画制作に対して、積極的に協力してくれるのも大きな理由でしたね。

−映画の中では、主人公が勤めるバーや工場の息苦しさと、海のひろびろとした風景の対象が印象的でした

まさにそのとおりです。台北ですと主人公の心の解放を象徴するような、風景を見つけるのは難しいでしょうね。

映画には興味無しの少年時代

−この映画を見て、高雄を訪問する日本の人も増えるかもしれませんね

そうなるととてもうれしいですね。高雄もいいですが、僕の故郷の宜蘭もお勧めですよ。温泉もたくさんありますし(笑)

−郷土愛ですね。宜蘭ではどのような子供時代を?

家はそう豊かではなかったので、アルバイトをして小遣いを稼いだりと、小さな頃から自立していました。映画館も無いような田舎で、映画を見ることはほとんどありませんでしたね。

−それがどうして映画監督に?

ひょんなことから文化大学の演劇学科に入学し、そこで映画のおもしろさに目覚めました。子供の頃の反動か、学生時代は映画漬けの毎日でした。特にゴッド・ファーザーなどを制作したコッポラと、日本の小津安二郎の作品に傾倒しましたね。

−台湾の映画監督で尊敬している方は?

もちろん、侯孝賢ですよ!「悲情城市」は日本でも有名なようですが、「童年往事/時の流れ」や「風櫃の少年」もすばらしいですよ。台湾をもっと知っていただくためにも、侯孝賢の作品はぜひご覧になって欲しいですね。

「深海  Blue Cha-Cha 」について

−「深海  Blue Cha-Cha 」はせつないラブストーリですが、傷つけられながらも強く生きようとする女性と、すぐに逃げ腰になる男性のコントラストが印象的ですね。これは、今どきの台湾の男女の関係を表しているのでしょうか?

あはは。確かにそれもあるかもしれませんが、僕の母親の影響が強いですね。僕の母は充分な教育を受けられず、読み書きもできないほどでしたが、たった一人で子供たちを守り、大切に育ててくれました。ヒロインのアユーもそうですが、女性はみな“強さ”を内面に秘めているんだと思っています。

リー・ウェイ(李威)ファンの方、ごめんなさい

−それにしても、リー・ウェイが演じるシャオハオは情けないキャラクターですね

まず彼のファンに謝らなくてはいけないですね。テレビドラマやモデルとしておなじみの“かっこいいリー・ウェイ”を期待している方、ごめんなさい(笑)。役作りのために4 、5kg 太ってもらいましたしね。

「深海  Blue Cha-Cha 」の出演を打診したときに、周りから反対されたと聞いています。この映画では彼は主役ではありませんし、ヒーローとは決していえない、まったく逆の役柄です。しかも初出演となる映画ですし。それでもやりがいがある役だと、出演を承諾してくれたリー・ウェイは本当にカッコいい男ですよ。実際に一緒に仕事をして、年齢よりもかなり成熟した男性だと言う印象を受けました。

−ありがとうございました。最後に日本の皆さんへのメッセージをお願いします。

自分で言うのもなんですが、人の心を題材にした良い映画だと思います。ぜひお友達やカップルで映画館へ足をはこんで、観た後に感想を語り合って欲しいですね。そして実際に高雄の海や愛河にいらして、愛や人と人との関係について、また「深海  Blue Cha-Cha 」について考えをめぐらせていただければ、こんなにうれしいことはありません。





鄭文堂監督プロフィール
1958年台湾宜蘭県生まれ。中国文化大学演劇学科卒業。「藍月」プロデューサーなどを経て、1999年短編映画「明信片」で監督デビュー。2002年長編「夢幻部落」で第59回ヴェネチア国際映画祭批評家週間 最優秀作品賞、第39回金馬奨台湾映画賞を受賞。

「深海 Blue Cha-Cha」は長編3作目に当たり、現在は台湾の子供たちを主役にした次回作を制作中。


「深海 Blue cha-cha」
・2005年台湾金馬奨音楽賞受賞
・第18回東京国際映画祭 <アジアの風>台湾:電影ルネッサンス出品
・主演 ターシー・スー(蘇慧倫)、リー・ウェイ(李威)

あらすじ
刑務所から出所したばかりのアユー(ターシー・スー)は海を渡り、姉のように慕っているアン(ルー・インチン)の家へ向かう。アンが経営するバーで、アユーは男性から好意を寄せられるが、心に病を抱えるアユーはどう応えれば良いのかわからない。そしてアユーは仕事先の工場で、シャオハオ(リー・ウェイ)に出会うが・・

写真提供:緑光全傅播有限公司(禁無断転載)