
― 日本のアニメ、コミックとの出会いは?
【孫編集長】 1980年代、僕が小学生から中学生の頃ですね。ガッチャマンやヤマトは衝撃的だったなぁ。当時は日本で放送されたテレビ番組をビデオに録画して、字幕をつけて貸してくれるお店があったんです。なのでガンダムやマクロスなんかは、ほぼリアルタイムで見ていましたよ。 ― そんな便利なお店があったんですね。レンタル代は?
【孫編集長】 もちろんアンダーグラウンドでしたけどね。当時で30元ぐらいだったから、今の100元ぐらいかな。子供には決して安くない金額だったので、友達同士でお金を出し合いみんなでワイワイ見ていました。
― そして趣味が高じて、現職にいたると?
【孫編集長】 あはは。その通りです。大学時代からこの業界の仕事をはじめてましたし、アニメやコミックを通じて日本語を勉強したことが、今の仕事に役立っていますね。 ― 「電撃Hobby台湾中文版」は日本のメディアワークスが出版している「電撃ホビーマガジン」の翻訳版ですが、内容は日本版と同じなんでしょうか?
【孫編集長】 同じ記事が7、台湾版独自の記事が3といったところです。プラモデルとフィギュアの専門誌なんですが、日本と台湾では商品の発売タイミングも違うし、台湾オリジナル商品の紹介にも力をいれています。5月号の表紙に載っているケロロ軍曹のフィギュアは、台湾のみで発売のレア商品なんですよ。
― 発売部数や読者層は?
【孫編集長】 発行部数は毎月3万冊。号にもよりますが70〜80%は売り切ります。メイン読者は男子大学生ですね。1部199元と台湾では高めの雑誌で、この数字は悪く無いと思いますよ。

― 男子大学生がメインということは、台湾のオタク業界の中心も彼らということでしょうか?
【孫編集長】 うーん、確かにそうですが、台湾に“オタク”は存在しないんですよ。“○○迷”、“迷(ミー)”とはファンという意味なのですが、アニメ好きなら“アニメ迷”、コミックなら“コミック迷”という呼び方が一般的です。
“オタク”という言葉は日本の「電車男」の放送をきっかけに広まりましたが、主人公の彼のような・・まぁ、さえない男を意味することになるので、台湾では使わない方が良いですよ。
― これは失礼いたしました。では台湾の“迷”はどんな人たちが中心なんでしょう?
【孫編集長】 コミックとアニメ、そしてゲーム“迷”がほとんどですね。どれか一つというよりも、複数の分野を掛け持ちすることが多いようです。日本のようなアイドルや自作PC“迷”は少ないかな。中心層はある程度のお金とヒマがある男子大学生。兵役をきっかけに、趣味の世界を捨ててしまう人が多いのが寂しいですね。
― 女性の“迷”は?コミケでは女の子をよく見かけましたが。
【孫編集長】 女性は少数派ですよ。3割ぐらい。ドール(人形)“迷”は女性が特に多いですね。コミケ参加者はちょっとタイプが違うんですよ。服を作ったり、キレイな服を着るのが好きなだけで、コスプレのベースとなっているキャラクターのファンというわけではない・・って子も多いんです。
― “台北の秋葉原”と紹介される光華商場ですが、お買い物はそちらで?
【孫編集長】 何を買うかによりますね。台北には、秋葉原のようにジャンルを越えた商品が集まっている場所は無いんです。プラモデルなら萬華、フィギュアなら台北駅地下街、アニメ、ゲームは光華商場が比較的充実していると思います。
― いまどきの人気作品は?
【孫編集長】 ワンピース、ケロロ軍曹、ナルトかな。あまり日本と変わらないと思いますよ。 |

― 台湾で発売されているコミックは、日本の翻訳版が圧倒的に多いのですが、台湾人の漫画家さんをとりまく環境は?
【孫編集長】 率直に言って厳しいですね。マンガ専業で食べていける人は、ほとんどいないんじゃないかなぁ。台湾では1冊のコミックが1万部売れれば大成功と言われるんですが、そこまでの人気漫画家は10人にも満たないですね。最近は5,000部もキツイです。
― コミックや雑誌の売れ行きが低迷しているということでしょうか?
【孫編集長】 まさに。その最大の理由はインターネットです。発売されたばかりの雑誌やコミックをスキャンして、ネット上で無料公開している人たちがいるんですよ!
― そ・・それはひどいですね。彼らの目的は?
【孫編集長】 バナー広告とか、いろいろあるようですが・・。また、貸し本屋の増加も理由のひとつですね。
― 貸し本屋ですと、数百元の雑誌が、数十元で読めちゃいますものね。
【孫編集長】 そうなんです。ただ、悪影響だけじゃないんですよ。台湾全土に貸し本屋は約3,000軒あるのですが、1軒が1冊買ってくれるだけで合計3,000冊が出荷されます。出版社にとって、この数は非常にありがたいんですよ。最近では販売や予約の取次ぎをしてくれる店も増えたので、まぁもちつもたれつ、と言ったところです。

― 政府や業界で、台湾の漫画家を育成しようという動きは?
【孫編集長】 積極的とはいえませんが、多少はありますね。少年コミック誌の「龍少年」や「GO!」は政府の補助を受けて、「挑戦者」は独自で台湾人作家を育成しています。 台湾人漫画家で最も成功しているのは周顯宗さんかな。キャリア10数年のベテランで、代表作『摺紙戰士(オリガミ戦士)』は韓国でアニメ化もされたんですよ。
― なるほど。日本でも鄭問さんがアフタヌーンに連載を持ったり、イラストレーターの陳淑芬&平凡さんや、ジミー(幾米)さんの画集が発売されたりと、台湾の作品も紹介はされてきていますね。
【孫編集長】 そうですね。日本のアニメやコミックをただ受け入れるだけじゃなくて、台湾からも逆に発信できるようになるとベストですね。
― 最後に、日本のみなさんに一言お願いします。
【孫編集長】 秋葉原は僕の心のふるさとです。そんなすばらしい所がある日本のみなさんがうらやましいですよ。
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