TOPICSのバックナンバー




  旧暦5月5日(2004年は6月22日)は中華圏三大節句のひとつ「端午節」です。この日、ちまきを食べる風習があることは有名ですが、台湾ではそれと同じくらい、ドラゴンボートレースが端午節の定番イベントとなっているのはご存知でしょうか。レースは台湾各地で開催されますが、中でも今回紹介する「台北国際ドラゴンボートレース」は、特に規模が大きいことで世界的にも有名なのです。
 
  端午節はちょうど夏至にあたり、暑さのため蚊やハエが多く発生し、かつては伝染病がよく流行する時期でした。そのため昔の人々は、旧暦5月を「惡月」あるいは「百毒月」などと呼び、5つの植物(ショウブ、艾草、ザクロ、ニンニク、ヒメユリ)を使って邪気を払い、様々な災厄を退けようとしたのだとか。今でも台湾では、厄を払い健康を願う日として、学校も会社もお休みになるのです。また、楚(?〜紀元前223年)の王の側近で、中国史屈指の詩人として知られる「屈原」が、楚が秦に併合されることを知り、憂国のあまり河に身を投げたのもこの日です。そのため「詩人節」などと呼ばれることもあります。
参考:「こだわりチマキを食べまくれ



  2004年6月20日から端午節にあたる22日までの3日間、「台北国際ドラゴンボートレース」が台北市北部を流れる基隆河のほとり「大佳河濱公園」で開催されました。全87チーム2318人の選手が参加し、国際大会という名の通り、南アフリカ・フィリピン・タイ・日本・オーストラリア・アメリカ・イギリス・ニュージーランドなど、海外からも非常にたくさんの外国人選手が参加していました。
タイチームの応援団 観客席
 そんな多くの外国人チームのなかでも、特ににぎやかだったのはタイチームの応援団でした。顔に白い粉を塗り、軽やかなタンバリンや小太鼓のリズムにあわせ、手に持った国旗を振り回してのダンスで大盛り上がり。しかしそんな彼らも、観客席の前を通る他のチームへ、自分たちのチームへと同様の盛大なエールをプレゼント。こんな気持ちのよいスポーツマンシップが、会場全体の雰囲気を盛り上げ、レースをよりよいものにしているのだろうなと感じました。


 
  スタート前にはまず祈祷が行われます。「あの世で使えるお金(冥紙)」を川に撒いたり岸辺で燃やすことによって、川の神様と精霊にレースの安全と成功が祈られるのです。祈祷が終われば、いよいよレースの開始です。ひとつのボートには、舵取り1人・旗取り1人・太鼓1人・漕ぎ手18人の計21人が乗り込みます。スタート地点から100メートルほど離れた場所で各チームボートに乗り込んだ後、スタート地点まではゆっくりと慣らしながら進んでいきます。そしてスタート位置にボートが並ぶと、乗り手たちは互いに激しい掛け声で気合を高めていきます。
冥紙を燃やし、安全を祈願します 準備完了!



 水面に鳴り響く銃声がスタートの合図。漕ぎ手たちが一気にオールを引き寄せると、ボートはグンと勢いよく滑り出します。太鼓手の叩くリズムにあわせてオールが水面をとらえ、飛び散る水しぶきの量にあわせて速度もどんどん上がっていきます。
 コース長は500メートル。川岸にはスタート地点からの距離を示す立て札が立っており、ちょうど観客席の前あたりがレースの中盤です。スタート直後は並んで進んでいたボートも、このあたりへさしかかると徐々に間隔が開きはじめ、観客の応援にも一層熱が入ってきます。
 そしてゴールの手前20〜30メートルからは太鼓のリズムも更に加速し、一気にラストスパート。ゴールは、ブイに立っている旗を取った時点ですから、ゴール直前では少しでも早く旗を取ろうと、旗取りの選手が川に飛び込まんばかりに身を乗り出します。この時は、見ている方も手に汗握る緊張の瞬間で、旗を取ると同時に観客からはどっと大きな歓声があがります。
 ちなみに旗はボートと同じ数(4つ)があり、たとえ何位のボートであろうとも旗を懸命に取ろうとし、観客は勝敗に関わらず、その健闘を称えていたのがとても印象的でした。


次のページへ