◆ルカイ族の象徴 蛇と百合の花

 ルカイ族の現在の人口は約1万2千人。伝統的に一人の頭目によって治められており、頭目の役職は代々、長男が世襲します。建物は「石板」と呼ばれる、この地域特有の薄い板状の岩を組み合わせて造られており、木や藁を建材として用いることが多い台湾原住民の中では、かなり珍しい建築スタイルなのだとか。

 百歩蛇(ひゃっぽだ)と呼ばれる三角形の頭をした蛇と、人間の女性の結婚によりルカイ族の始祖が生まれたと伝えられていて、村や家のいたるところに蛇のモチーフを見ることができます。また、百歩蛇と並んで百合の花がルカイ族の象徴であり、純潔の未婚女性と、英雄と認められた男性だけが、百合の花を身に付けることができるのだそう。なかなかロマンチックな習慣ですね。ルカイ族はその昔、台東エリアに居を構えていたのですが、幻の動物と呼ばれる雪豹を追って、現在の霧台に移動してきたと伝えられており、台湾では「雪豹伝説の民族」とも呼ばれています。

 杜姉さんの解説で、取材メモが瞬く間に文字で埋まっていきますが、私の目はどうしても彼女の服に目が行ってしまいます。厚めの黒いコットンで作られた、ゆったりとしたスーツのひじ、すそ、そして肩にかけたバッグには細かな刺繍と貝の飾りがびっしり。頭の花冠にはオレンジ、黄色、赤の菊の花と、鮮やかな緑の葉が複雑に編みこまれていて、思わずうっとり見とれてしまいます。
 私の視線に気づいた杜姉さんは、もともと花冠は男性しかかぶれなかったのだけど、最近は女性でも許されるようになったのよ。これは今朝、義理のお母さんが、摘み立ての花で作ってくれたの・・と笑って教えてくれました。新鮮な花の冠なんて、ブランド物のアクセサリーよりもある意味、贅沢ですよね・・という、同行者の声に頷きました。