TOPICSのバックナンバー



 この季節、台湾人が恐れるもの、それは「月餅」。日本ではいまいち影が薄いこのお菓子も、中華民族にとっては三大節のひとつ「中秋節」を祝うのに欠かせないアイテム。毎年、中秋節の前には大量の月餅が会社や知人、親戚間を飛び交い、テーブルの上には月餅の山。一人10個なんてノルマもあったりして、ダイエット計画なんぞ「縁起物だから食べなきゃだめ!」の声にかすみます。
 
しかし、製菓メーカー、ホテル、レストラン、ケーキ屋などが、毎年発表する新作月餅が、実は楽しみだったりして。この特集では、そんな台湾人の生活とは切っても切れない、華麗なる月餅の世界にご案内。
◆中秋節とは

  旧暦では7、8、9月の3ヵ月間が秋。ちょうど8月15日はその真ん中にあたることから「中秋」と呼ばれるようになったとか。台湾では毎年この日は祭日で、会社もお休み。皇帝が満月を愛でる宴を開催したことにちなみ、家族や親しい人で集まって、月を眺めながら外で焼肉が最近のトレンド。今年は9月11日が中秋節にあたります。

◆なぜ月餅?

 これには諸説ありますが、古代中国で圧政に苦しむ人たちが、中秋節に反乱を計画。それを知らせる手紙を、お饅頭の中に入れて仲間に送り届けたという故事が有力なよう。
 台湾では、月に住む天女が地上で泣いている子供をかわいそうに思い、饅頭を送ったのが月餅の由来とも伝えられています。

◆広東月餅 vs 台湾月餅!

 日本でも販売されている、いわゆる「月餅」は中国の広東地方が発祥の地。その主な特徴は以下の3点。
1. 伝統的な図柄が型押しされた、ラードが練り込まれた厚めの皮
2. 中身はねっとり系のアズキ餡に、月に見立てた塩漬け卵黄
3. ずっしりとした重量感
 しかし、このスタンダード月餅、ラード、すなわち豚の油がたっぷり入っているだけあり、非常に高カロリー。ぱくっとかじると、ずっしり、ねっとりしたアンコが口中に広がり、おいしいのですが・・・正直、重い。三口も食べれば、もうお腹いっぱいになってしまいます。


 どうやらこれは台湾の人も同じらしく、台湾では独自の月餅が発達していました。その特徴は・・
1. パイ生地を連想させる層になった薄い皮
2. 中身はアズキあんをベースに、ナッツや餅。卵黄は入れない。
3. 軽い食感
と、ボリュームたっぷりの中国月餅と比べ、とにかく軽いのが台湾月餅のポイントです。
 このほかにも台湾では、最近の健康ブームもあってヘルシー素材を使った低カロリー月餅が大流行。また、激しさを増すメーカー間の競争が背後にあるのか、「これって月餅?」と首を傾げたくなるような楽しい品も。かえってオーソドックスな月餅を探す方が難しかったりする状況です。

 その百花繚乱な月餅を、旅々台北が見逃すはずはありません。個人的に皆、既に食傷気味ではありますが、スタッフ一同張り切って(!?)試食を敢行しました。


 (1. 商品名 2. 製造社名 3. あんの中身 4. カテゴリ(台湾式、広東式、その他) 5. 価格 6. 試食コメント)

1. 広東式月餅
2. 福利 FLORIDA BAKERY
3. 塩漬け卵(2個)
4. 広東式
5 .190元(1個)
6. かつての上海租界の名店による、これぞ正統派月餅。黒いアンコの暗闇に、卵の月が2個ぽっかり。1週間のおやつはこれ1個でOK のボリューム。
1. 巧克力夏威夷豆
2. 新東陽
3. ハワイアン・チョコレート
4. 広東式
5 .680元(6個+花瓶のセット)
6. チョコレートのほのかな苦味が利いた、予想を裏切る軽い食感。コーヒーと一緒にいただきたい、大人の味です。
1. 百合黒棗(ユリとナツメ月餅)
2. 新東陽
3. ナツメ、ユリの根
4. 広東式5. 680元(6個+花瓶のセット)
6. 漢方薬のような、ちょっとクセのあるナツメの香りが評価の分かれ目。ずっしりした食感が、台湾人スタッフに大好評。
<イチオシ>
1. 鳥核玉露
2. 郭元益
3. 抹茶、小豆、クルミ
4. 台湾式5. 420元(12個入)
6. 蓋を開けた瞬間に、鼻をくすぐる玉露の香りにノックアウト。ぱりぱりの皮と餅の組み合わせは、さすが1867年創立の老舗の技。今回のイチオシです。
1. ◆月一山山薬蓮蓉栗子
 (◆=草冠に郷))
2. 一之郷
3. 山芋、蓮の実、栗
4. 日本式(?)
5. 570元(12個入)
6. これって、日本の蒸しパンじゃないの・・?とスタッフの当惑を呼んだ一品。「日本式月餅」として売られてはいるのですが・・。健康に良い山芋入り。
1. ◆★緑豆凸
 (◆=米に麻★=米に署)
2. 義美食品
3. 緑豆あん
4. 台湾式
5. 345元(10個入)
6. 薄皮の中にしっとり餡と、ボソボソ餡のダブル構造。見た目も味も素朴な品。ちょっと喉に詰まりますが、飽きのこない味と好評。
1. 内造瓜仁松子月
2. 京兆尹
3. カボチャの種、松の実
4. 広東式
5. 1,688元(5個+茶杯のセット)
6. 北京宮廷料理の名店が、古典小説「紅樓夢」に出てくる宮中の健康月餅を再現。さっぱりとした餡と、ナッツの歯ざわりが相性抜群。
1. 桂花蓮蓉栗粉餅
2. 京兆尹
3. キンモクセイ、蓮の実、栗
4. 広東式
5. 1,688元(5個+茶杯のセット)
6. 上記と同じく健康月餅。キンモクセイの花の香りが、薬を連想させると若干不評。全体の味も薄めで、体への配慮がうかがえる、大人向けの一品。
1. 蕃茄白豆沙
2. 台北華國大飯店
3. トマト、卵黄、白豆あん
4. 広東式
5. 790元(4個入り)
6. 健康志向の新製品。赤い切り口がなんともキュート。トマトの酸味とアンコの甘さは・・なかなか斬新な味。シェフのチャレンジ精神に、大きな拍手を。
1. 胡蘿蔔白鳳豆
2. 台北華國大飯店
3. 人参、卵黄、白豆餡
4. 広東式
5. 790元(4個入り)
6. 同じく健康志向の人参月餅。やわらかな人参の香りが白餡とマッチし、意外に粋な組み合わせ。食べる野菜ジュースのような感触です。
1. 香籾B肉
2. 台北老爺大酒店
3. しいたけ、豚肉
4. 台湾式
5. 580元(9個入り)
6. 薄皮の中にはじっくり煮込まれたやわらかな豚肉餡。噛み締めると、シイタケが芳醇な香りを主張。台湾の伝統的な味をモダンに再現した逸品。
1. 酒漬櫻桃/蔓越苺
2. Modern Baking House
3 .ブランデー漬チェリー/クランベリー
4. ?
5. 35元(1個)
6. 白くてぷるぷる、真っ赤なチェリーとヨーグルトの酸味がたまらない・・!?「月餅」として売られているのです。これ。台湾の月餅業界、少々暴走気味。
1. 抹茶燕窩
2. 力霸皇冠大飯店
3. ツバメの巣、抹茶
4. 広東式
5. 780元(7個+お茶のセット)
6. 美肌効果抜群のツバメの巣を使った一品。抹茶の味が前面に出ているため、
残念ながらツバメの巣は感知不可能。ツバメの巣、ツバメの巣・・と唱えながら
いただきましょう。
1. 伍仁金腿
2. 力霸皇冠大飯店
3. 金華ハム、ナッツ、餅
4. 広東式
5. 780元(7個+お茶のセット)
6. 中国最高級の金華ハム使用。ハムの塩味と甘み、
ナッツの香ばしさが融和した絶妙のハーモニーは見事の一言。お酒のツマミにも。
 いかがでしたでしょうか?

 月餅は基本的に予約注文制。有名店の月餅は8月末で予約完了、売り切れとなるのが一般的。残念ながら、今年これから、ご紹介した美味しい月餅を入手するのは難しい状況です。

 しかし、このほかにも「黒マグロ入り月餅」や「朝鮮人参(まるごと)入り月餅」、「アイスもなか月餅」など、台湾には、まだまだユニークな月餅がもりだくさん。

 これからも、私たちの固定概念をひっくりかえしてくれる月餅が発表されることは、間違いありません。台湾の月餅業界に、ぜひご注目ください。