


台北の街を歩いていると、ビルの1階や建ち並ぶ商店の間にいきなり廟があり、驚くこともしばしば。しかし、狭い場所に人と建物がひしめき合う台北市内では、割りとよくある光景です。郊外へ行けば慈恵宮のように独立した一軒屋(?)の廟が見られます。
慈恵宮があるのは板橋の歴史的名園、林本源園邸(林家花園)のそば。清の時代1860年に建立され、大觀義學などと並んで、板橋の「四大古廟」と呼ばれることもあるそうです。媽祖という航海の神様を祀っており、板橋では最も古い媽祖廟といわれています。
その昔、台湾と中国の間にある台湾海峡は「黒い溝」といわれ、遭難しやすい危険なエリアとされていました。船で台湾へ渡ろうとする中国人は、無事台湾へ到着するよう、出航前に媽祖にお祈りをしていたそうです。その後移民してきた中国人たちによって媽祖も台湾へ上陸。移民たちの守護神として多くの信仰を集め、現在に至っています。
板橋は海に面しているわけでもなく、どうして航海の神様がいるんだ?と素朴な疑問がわきますが、慈恵宮はかつて河港として栄えた新荘の慈祐宮から「香火」を貰い受けて立てられたのだそうです。
慈祐宮は全部で3階建ての廟。各階それぞれ神像があり、順次参拝していきます。1階に祀られている媽祖には、神将である「千里眼」と「順風耳」が控えています。千里眼はその抜群な視力ではるか遠い海上の様子を確認し、順風耳はすば抜けた聴力で困った人々の声を聞きとり、航海の安全を司る媽祖をサポートしています。2階の正殿にあがると、別の廟から出張してきている媽祖像が、そして3階には道教の神々を司る大神、玉皇大帝が鎮座しています。
板橋エリアで最も古い歴史を誇る慈恵宮には、毎日多くの人々が参拝に訪れます。毎年、旧暦3月23日の媽祖誕生日には、祭事が盛大に行われるそうですよ。
度重なる修築や改築を経てきた慈祐宮は、残念ながら古跡に指定されていませんが、屋根や柱に見えるきめ細やかな彫刻は見事なもの。板橋へ足を運んだ際には、慈祐宮の媽祖に挨拶してみるのもいいかもしれませんよ。
【慈恵宮】
住所:台北県板橋市府中路81号
電話番号:(02)2967-9252
開放時間:6:00〜22:00
交通:MRT府中駅から徒歩約5分