旅々台北.com
台北日和 2005年5月23日
芝山岩隘門
 むせかえるような深い緑の中にたたずむ、やわらかい緑のコケに覆われた重厚な門。台北の町の喧騒がうそのように静かな時が流れる芝山公園内に、3級古跡に指定されている歴史的門があるのです。

 一見、なんだか西洋のお城の城壁のような面持ちのこの門、以前台北日和でもご紹介した芝山岩惠濟宮への行き道にあるのです。「芝山岩隘門」が作られたのは1848年とも1852年ともいわれています。当時台湾は中国大陸からの移民が多く、出身地別に固まって住んでいたのですが、それらグループ間の紛争が絶えない状態でした。ちょうどこの芝山岩隘門がある士林地区を拠点としていたのは●州出身の人々で、敵に攻められないように守りを固める大切な城壁として石造りの頑丈な門が作られました。当時の民族紛争は激しく、1859年には●州出身のグループと、萬華や新莊地区を拠点としていた泉州出身者グループとが激しく対立し、士林一帯や芝山岩のあたりが戦場と化し、それは悲惨なものだったそうですよ。

 建設当時は、東西南北4つの門がそろっていましたが、日本統治時代には紛争もなくなり防御のために機能していた芝山岩隘門もその役目を終了。じょじょに荒れ果てていき、現在残るのは、芝山岩惠濟宮へと登っていく階段がある西門のみとなっています。門まで続く階段の右手には、ガジュマロやツタなどがからまった巨大な岩があり、中でもきわめて大きい岩には「洞天福地」と刻まれた字が。この4文字は当時の士林の有志によって刻まれたのだそう。コケむした門の前には、巨木がまるで門から生えているかのようにそびえ、岩と門と巨木とすべてが山と一体化したような豪快な姿が楽しめます。

 切り出された石で作られた門の美しさもいいのですが、ここでは、自然の岩を楽しく鑑賞できる遊び心が隠されています。門を入ってすぐ、階段の左手に「蛇蛙石」と赤い字で刻まれた岩が目に入ります。ん?と思って周りをみわたすと。おお、なるほど。言われてみれば、その後ろにある岩が、蛇の頭と、蛇ににらまれすくんでいる蛙に見えるではありませんか。このほかにも、芝山公園エリア内には、太陽岩など岩の自然な形を生かしたネーミングのついた岩があちこちで見受けられますので、散策ついでに想像力を働かしてみてみては?

※●=さんずいに章

【芝山岩隘門】
住所:台北市至誠路一段326巷26號
交通:MRT芝山駅から車で約5分

[バックナンバー]