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台北日和 2005年1月17日
台北に残る日本家屋 殷海光故居

 台北を歩いていると、古びた日本家屋に出会うことがあります。これは日本統治時代の遺産で、本日ご紹介する「殷海光故居」はそれを代表する存在の一つ。台北市の古跡にも指定されているのです。

 かつて日本に統治されていた時代がある台湾では、60年以上前に建てられた古い日本家屋に出会うことがあります。住人が去った後にも改装を重ねつつ、そのまま使用されているものもあれば、長年放置されどんどん荒れていっているものもあります。しかし最近では、歴史の証人として大切にしようとする動きが高まり、その代表としては茶芸館として有名になった紫藤廬があります。

 その紫藤廬や台湾大学にもほど近い、新生南路から1本西にある通り、温州街には、古い日本家屋が集まった一角があります。そこには時の流れさえもゆっくり感じる静かな古い町並みが広がり、台北の真ん中にあるとは信じられないほど。大木や緑が豊かに茂る庭付きの日本家屋が立ち並ぶなかに、その「殷海光故居」はたたずんでいます。うっそうと茂る緑の中に、古びた木の柱や壁がほどよい茶色にしっくりと溶け合い・・と言いたいところですが、なぜかエメラルドグリーンに塗られているのが台湾風。

 この「殷海光故居」ですが、なぜ、このような名前が付いたのでしょう。もともとこの家屋は1930年(昭和5年)頃に旧台北帝国大学(現台湾大学)の教職員宿舎として建設され、戦後は台湾大学に引き継がれました。そして、ここの住人となったのが中国大陸出身の殷海光氏だったのです。彼は台湾大学で哲学の教鞭をとるだけでなく、「自由中国」という本に、数々の自由主義に関する文章を発表するなど、台湾の自由主義を推し進めるきっかけとなったキーパーソンでした。台湾の自由主義を語る中では決して欠くことのできない殷海光氏。彼が1956年から亡くなるまでの1969年までを過ごしたのがこの古い日本家屋なのです。

 この「殷海光故居」には、当時殷海光氏が娘のために自ら作った小さなプールなども残されているそう。現在は空家ということで門は硬く閉ざされていましたが、「殷海光博物館」として開放しようという動きも出てきているそうですよ。早く実現されるといいですね。

【台北に残る日本家屋 殷海光故居】
住所:台北市大安区温州街18巷16弄1-1號
交通:MRT台湾電力大樓駅から徒歩約15分


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