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台北日和 2004年11月18日
台南 五妃廟

※台北日和の記事は遡及調査をしていないので、現状と異なることがあります。

 こぢんまりとしてかわいい昔の邸宅、といった感じのこの建物。「五妃廟」という名前からも推測できるとおり、5人のお妃様を祀っている廟なのです。さて、この5人のお妃様とはいったい誰なのでしょう?

 話は今から約400年前、明の時代(1368年〜1644年)までさかのぼります。明朝最後の王、寧靖王は清軍に追われ、鄭成功と共に台湾へやってきてからも抵抗を続けていました。しかし情勢は厳しく、1683年澎湖が敗れたことを機に、寧靖王は殉死を決意。その際に5人のお妃達(袁氏、王氏、秀姑、梅姐、荷姐)には生き延びるように伝えたのですが、お妃達は皆、寧靖王と生死を共にすることを選び、なんと王に先立って自決をしてしまったのです。悲しみにくれた寧靖王は、彼女たちの遺体を南門城外の魁斗山へ自ら埋葬すると、後を追うように命を絶ちました。国と命運を共にした王、そしてその王を慕って命を絶ったお妃達の話は、後々も人々に伝えられ、清の乾隆16年(1751年)にお墓は修復され、「五妃廟」として祀られることになったのです。

 「五妃廟」はお墓と廟が一体となった、いわゆる「陰廟」の形をとっています。廟の裏はこんもりと盛り上がったお墓になっており、踏み荒らされないようにちゃんと囲いが作られています。入り口の扉には、二人の美しい仕女の絵が色鮮やかに描かれ、まるで今でも王と妃に仕えているかのよう。廟内には礼拝所と正殿、左右に分かれた小部屋があり、正殿の中には、5人のお妃様をあらわしたご神体が仲良く並んで祀られ、その後ろの壁には「寧靖王從死五妃墓(寧靖王に従死した5人のお妃の墓)」の碑が掲げられています。また、廟の右側に祀られている「義靈君」という小さな祠、ここには寧靖王に最後まで仕えて従死した侍宦が祀られているそうです。

 現在周辺は公園として整備され、草木が茂りゆったりとした風景の中にこのかわいい廟は静かにたたずんでいます。いくつかある石碑も、木々の間にぽつんぽつんと姿を見せ、のんびりと散歩でもしながら廟へお参り、といったところでしょうか。もちろん今でも大切に保存されている「五妃廟」。最近になってライトアップ設備も完備。深い夜空とライトに浮かび上がる姿は静けさにたたえられ、5人のお妃様達もきっと満足しているのではないかと思わせる雰囲気でした。

【台南 五妃廟】
住所:台南市五妃街201號
電話:(06)214-5665
開放時間:08:30 - 21:00
入場料:無料
交通:台南客運バス5、5甲、105番に乗り、體育公園バス停で下車

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