|
日本でも大規模な回顧展が開催されるなど、世界的に著名な彫刻家、朱銘氏の屋外美術館に行ってまいりました。当日は35度を越える猛暑でしたが、ユニークな作品たちに暑さも忘れるほど。どこか笑える彫刻を、ゆったりとした雰囲気の中で楽しめる空間でしたよ。
朱銘氏が生まれたのは1938年。9人兄弟の末っ子でした。家は貧しく小学校を卒業すると同時に、雑貨屋に奉公に出されました。しかし、生まれつきの手先の器用さが評判を呼び、15歳の時に彫刻師、李金川氏に弟子入り。成人してからは家具屋や仏具屋で働きましたが、芸術への憧れは止まず、30才の時に有名な彫刻家、楊英風氏に入門。アーチストとしての道を歩み始めました。そして1976年、38才の折に台北歴史博物館で開催した初の個展が大評判となり、朱銘氏は台湾を代表する彫刻家として一躍表舞台に飛び出したのでした。
この頃の朱銘氏は水牛や農民、土着の神々などを好んでモチーフとしたため、台湾の郷土芸術家とも呼ばれていましたが、次第に「太極」など中国の精神文化を表す抽象的な作品へとシフト。これが世界的な評判を呼び、東京やパリなどで個展が開催されるに至ったのです。東京都美術館や箱根の彫刻の森美術館でも大規模な展覧会が開催されましたので、日本で彼の作品をご覧になった方も多いかもしれません。
さて、この朱銘氏の作品をずらりと並べた屋外美術館は、台北市内より車で約1時間。本当にこの道でいいのだろうか・・と心細くなるぐらいの山奥に、ぽっかりと開けた草原に、太極をはじめとする巨大な作品が、思い思いにその姿を並べています。なんでも、作品を貯蔵するための土地を買い、草原にブロンズ像を置いてみたところ、おやこれは面白い。よし!美術館にしよう!と、朱銘氏が思いついたのが美術館のはじまりだというのが、なんとも楽しい。海を見下ろすゆるやかな丘陵地帯には、おや、こんな木陰にも・・と驚くほどに、アルミやブロンズの大小の作品がずらり。一方、屋内美術館には木工作品がメイン。見るといずれも近年の作ばかりで、この作品数から推定するに、週に一作は仕上げているのではないのかと。本当にこの方は彫刻が好きなんだなぁ・・と感心してしまいます。郷土芸術家と呼ばれた初期の頃は、シリアスな表情をした作品が多いのに対し、年が新しくなるにつれ、太極拳のポーズをとった巨大なブロンズ像や、ベンチに座ってタバコをすっているアルミ製の紳士など、どこかユーモラスで人間味があふれた作品に変わっていく様を見て取ることができます。
それぞれの作品の前では、同じポーズで写真を撮る人たちが続出。それだけ親しみを持てる、楽しい作品が多いという証拠でしょう。そんな中、池の中にはリアルな水牛像が。お、これは初期の作品・・・・って、生きてますよ、この牛。この牛も、朱銘氏流のユーモアなのでしょうか・・?
【朱銘美術館】
住所:台北県金山郷西勢湖2號
電話:(02)2498-9940
開館時間:10:00-18:00(11月から4月までは17:00まで)
休館日:月曜日、旧暦正月
入場料:大人250元、学生220元、身長110cm以下の児童は入場無料
交通:台北市内より車で1時間。
台北縣金山郷(金山郷藝文&老人活動中心大樓前)より無料シャトルバス(一日2〜3本)も運行しています。
HP:http://www.juming.org.tw/
|