2003年11月11日
淡水 龍山寺

 にぎやかな市場の中に静かにたたずむ、一軒の古寺。周囲の喧騒に紛れて、ともすれば見落としてしまいそうですが、実は19世紀中頃に建立された由緒あるお寺で、三級古跡にも指定されているほど。そんなお寺が何気ない顔をしてすましているのは、歴史の街、淡水ならではの光景です。

 朝早くから商いでにぎわう清水街。狭い通路の両側には、新鮮な野菜、果物、魚、肉といった生鮮食料品から、美味しそうな鳥の丸焼きや、おでん種、フトンや食器など、生活に必要なあらゆる品を扱う屋台、小さな店舗がずらりと並んでいます。店と店との間隔が無いに等しいので、魚屋から逃げ出したカニが、隣の果物屋の店先にちょこんと座り込んでいたりして。ピチピチの魚やエビを扱う店が多いのも、海が近い淡水の特徴でしょう。

 その市場の一角にたたずむのが龍山寺。ぎっしりと並んだお店が一角だけ途切れる場所があり、そこがお寺の入り口です。さすがお寺の正面で商売をしようとする不届き者はいない模様。なぜこんな市場の真ん中にお寺が・・と思われるでしょうが、それが逆。もともと龍山寺がこの地にあったのを、参拝客目当てに露天が並ぶようになり、気がつくとお寺が市場に飲み込まれてしまったそう。それゆえ、この周辺エリアを、お寺の後からできた街、「後街」とも呼ぶそうです。

 龍山寺が建立されたのは1858年。本尊は観音菩薩で、萬華の龍山寺と同じく、中国福建省泉州の龍山寺より分霊を受けています。1884年の対フランス戦争で淡水は戦場となりましたが、龍山寺は難を逃れ、より人々の信仰を集めたそう。この時に、観音の守護のお礼として奉納された「慈航普渡」額は、今でも本堂で見ることができます。前殿脇の龍が彫られた石柱は、淡水河に拠点を構えていた船主が海上での安全を祈って寄進したもの。船名が彫られているのを見ることができます。

 境内はいつも静けさに満ちており、市場の喧騒が嘘のよう。こじんまりとした建物自体に派手さはありませんが、壁や柱はぴかぴかに磨き上げられており、花やお線香が絶えることはありません。地元の人に大切にされていることがよくわかる、しっとりとした雰囲気のお寺です。

【淡水 龍山寺】
住所:台北県淡水鎮中山路95巷22号
行き方:MRT淡水駅より徒歩5分。清水街市場内。


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