2003年11月4日
三峡

※台北日和の記事は遡及調査をしていないので、現状と異なることがあります。

 20世紀初頭の空気が色濃く残る街、三峡。当時の建物がこれだけ数多く現存しているのは、台湾でもめずらしいのだとか。古きよき時代の台湾にタイムスリップしてみませんか?

 台北市内から車で走ること約一時間。大きな河に架けられた橋を渡ると、レンガ造りのアーケードが並ぶこじんまりとした街に到着します。つい先ほどまでは21世紀の台北にいたはずなのに、するっと100年前の世界に入り込んでしまったような、奇妙な感じがするかもしれません。心なしか道を歩く人のテンポもゆっくりで、チャイナドレスを着た女性が、横丁からついと現れてもおかしくないような雰囲気です。

 大漢峡、三峡、横峡という三本の河に囲まれた三峡は、その肥沃な土地が人々をひきつけ、17世紀には原住民である平埔族による開拓が行われていました。その後、中国からの移民が増加するにつれ、川の水を引いての開墾が活発化。また水運の中継点として、日本統治時代に最盛期を迎えました。

 現存するレトロな建物は、この街が最も華やかであった昭和初期に建てられたものが中心となっています。特に「老街」と呼ばれるストリートは、当時の商店街がそっくり保存されており、屋根の低さや通りの狭さがかえってリアリティを感じさせてくれます。

 いずれも当時、店主たちがプライドにかけて、店の美しさを競い合ったであろうと思われる凝ったものばかりで、この小さな地方都市である三峡の、かつての繁栄ぶりが納得できるというもの。

 精緻な彫刻が施された石造りのファザードや、屋根に掲げられたレリーフは、まさにため息物の美しさ。アール・ヌーボー風にツタが絡み合う横では、中華風の獅子が口をあけていたり、薬屋の看板には朝鮮人参が彫られていたりと、当時の職人たちの遊び心が伝わってきます。

 三峡をもっと知りたい方には三峡歴史文物館へ。この文物館は1929年に建てられた町役場を改造しており、とても役場とは思えない威風堂々とした雰囲気に圧倒されるはず。

 また、見逃したくないのが清水祖師廟。1767年の創建という古いお寺で、現在の建物は三峡出身の著名な画家、李梅樹によって戦後に再建されたものですが、再建がスタートしてから40年以上も経つというのに、現在でも「工事中」なのだとか。完成まで100年を予定しているということで、李梅樹氏は台湾のガウディと呼ばれているそう。また、この廟は「神猪(豚)競賽」というめずらしいお祭りでも有名。旧正月に神前に捧げられた豚の立派さを競うもので、トップクラスの豚は800kgを超えるそう。これはぜひ、取材してみたいところです・・・。

【三峡】
住所:台北県(現新北市)三峡鎮
交通:台北市より車で約1時間。中華路北バスターミナルより直通バスあり。


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