林安泰古 とは
台北は新しさと歴史が混在する都市と呼ばれる街。建物も例外ではありません。数百年の歴史を持つ中国式伝統的家屋や、お寺の向こうに、台北101や新光三越といった超高層ビルがそびえる風景は、自分がどこの時代にいるのか迷ってしまうような、少し不思議な気分にさせてくれます。
その中でも特に古い歴史を持つ建物が「林安泰古 」。台北に残る中では最も保存状態のよい古民家で、竣工されたのは清の時代の1783年。200年以上の昔に建てられたとは信じられないほどの美しさを保っています。この豪邸の主は、資産家の林氏。中国福建省からの移民で、現在の迪化街エリアで「栄泰」という号で商売を営み財を成しました。また、故郷の福建省安渓を偲ぶ意味も込めて、この豪邸を「林安泰古 」と名づけたそうです。
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四合院建築の名宅
赤レンガの塀にぐるりと囲まれたこの林安泰古 は、伝統的な四合院建築スタイルを採用しています。四合院建築とは中庭を中心に、4棟の建物を対称的に配置した明、清の時代の福建省の典型的な建築様式。ツバメの尻尾に例えられるそりかえった屋根は、赤い瓦を幾重にも重ねており、微妙なカーブが落ち着いた雰囲気を演出しています。
建築スタイルだけではなく、建材も中国大陸産を採用しているのがこの家の特徴。そのほとんどを海を越えた福建省から名産の杉を取り寄せたそうで、運輸機関が発達していたとは言えない200年前では、天文学的な費用と手間がかかったことでしょう。高温多湿の台湾で鉄釘は錆びやすいため、木材は竹や木製の釘で留められています。壁は赤レンガ、土レンガなどに粘土と石灰を塗って仕上げられています。
庭の石畳に使われている石は紅普石と呼ばれ、中国大陸からの渡航船の船底に重石として置かれ、バランスをとるために使われたものだそう。苔が生えず、滑りにくい点が、石畳にぴったりだそうです。
どっしりとした門をくぐると、美しく整えられた庭と半円形の池が目に入ります。この池はその名も優雅な「月眉池」。半月のように美しく整えられた眉型の池とは、さすが豪邸では池の名前も優雅です。美しいだけではなく、防衛、防火、魚の養殖、邸内の温度調節など、さまざまな用途に使われていたとのこと。また庭に植えられた花々や草木は、実はほとんどが薬草。美しさと同時に、薬効までも得ていたとは、先人の知恵には脱帽です。 |
建物本体は中庭を中心に、門に向かった正面に先祖を祀る廟があり、左右翼に書斎や寝室など生活のための部屋が、合計34部屋、ワンフロアに前後2列に並ぶスタイルとなっています。日本では仏間に当たる廟が家の中で最もベストポイントにあるところが、祖先を熱心に敬う中華民族の精神を表しているとのこと。建物内は窓がほとんど無いため昼でも薄暗いのですが、天井が高いおかげで圧迫感は感じません。直射日光が入らないおかげで、夏でも涼しく、また冬も暖かいそうですよ。
一部屋ごとの面積は四畳半程度で、主寝室などはベットと鏡台で、もう満杯といった感じです。これは一部屋一部屋を小さくすることにより壁の数を多くし、屋根を支えるという効果があるそうです。
各部屋には実際に林家で使用されていた家具や、台所道具などが置かれ、当時の生活風景が再現されています。ベッドや鏡などは一見、シンプルに見えながらも、高価な紫檀(ローズウッド)に細かな螺鈿細工が施されていたりと、やはりため息物の豪華さ。一方、使用人用の食卓や、食器棚は飾り気のない質実剛健なものが中心でした。
壁やドアにはいたるところに龍や鳳凰、桃や蓮の花といった縁起の良い模様が描かれたり、彫刻されており、これは先祖を敬う意味もあるのだとか。それを丁寧に見ていくだけで、時間があっという間に過ぎてしまいます。
また当時の食事を再現したロウ細工や、衣服や人形、農機具なども展示されており、民俗学的な興味も満たされることをお約束。一軒の家がそのものが芸術作品であると言っても過言では無いこの林安泰古 。ぜひゆっくりと時間をとって、見学していただきたいポイントです。 |
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アクセス
最寄のMRT圓山駅からタクシーのご利用をお勧めします。
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