林安泰古厝
(リンアンタイグーツォ)  
 林安泰古厝は現在の敦化南路エリアにありましたが、都市開発に伴い破壊されるところを、台北市政府の主導で、1978年から約10年の歳月をかけ現在の場所に移築されました。移転に伴い、建物の規模は三分の一に縮小されたとのことですが、それでも見ごたえ充分で、当時の林家の繁栄ぶりが想像できます。
住所 台北市濱江街5號
アクセス MRT圓山駅よりバス203、266、277、280、285、612番に乗り民族東路口バス停で下車。
もしくは、バス33、72、74、222、527、642番に乗り新生公園で下車。
参観時間 9:00-17:00
入場料 無料
定休日 月曜日、旧暦のお正月、清明節、端午節、中秋節

※枠付きの写真は、クリックで拡大画像が別ウインドウに表示されます。

林安泰古厝とは

林安泰古厝  台北は「新しさと歴史が混在する都市」と呼ばれており、建物も例外ではありません。数百年の歴史を持つ中国式伝統的家屋や、お寺の向こうに、台北101や新光三越といった超高層ビルがそびえる風景は、自分がどこの時代にいるのか迷ってしまうような、少し不思議な気分にさせてくれます。

 その中でも特に古い歴史を持つのが「林安泰古厝」。台北に残る建物の中では最も保存状態のよい古民家で、竣工されたのは清の時代の1783年。200年以上も昔に建てられたとは信じられないほどの美しさを保っています。この豪邸の主は、資産家の林氏。中国福建省からの移民で、現在の迪化街エリアで「栄泰」という号で商売を営み財を成しました。また、故郷の福建省安渓を偲ぶ意味も込めて、この豪邸を「林安泰古厝」と名づけたそうです。


四合院建築の名宅

建築様式は伝統的な四合院建築スタイル  赤レンガの塀にぐるりと囲まれたこの林安泰古厝は、伝統的な四合院建築スタイルを採用しています。四合院建築とは中庭を中心に、4棟の建物を対称的に配置した明、清の時代の福建省の典型的な建築様式。ツバメの尻尾に例えられるそりかえった屋根は、赤い瓦を幾重にも重ねており、微妙なカーブが落ち着いた雰囲気を演出しています。

建材も中国大陸産のものが使われています  建築スタイルだけではなく、建材も中国大陸産を採用しているのがこの家の特徴。そのほとんどを海を越えた福建省から名産の杉を取り寄せたそうで、運輸機関が発達していたとは言えない200年前では、かなりの費用と手間がかかったことでしょう。高温多湿の台湾で鉄釘は錆びやすいため、木材は竹や木製の釘で留められています。壁は赤レンガ、土レンガなどに粘土と石灰を塗って仕上げられています。

 庭の石畳に使われている石は紅普石と呼ばれ、中国大陸からの渡航船の船底に重石として置かれ、バランスをとるために使われたものだそう。苔が生えず、滑りにくい点が、石畳にぴったりだそうです。

月眉池  どっしりとした門をくぐると、美しく整えられた庭と半円形の池が目に入ります。この池はその名も優雅な「月眉池」。半月のように美しく整えられた眉型の池とは、さすが豪邸は池の名前も優雅です。美しいだけではなく、防衛、防火、魚の養殖、邸内の温度調節など、さまざまな用途に使われていたとのこと。また庭に植えられた花々や草木は、実はほとんどが薬草。美しさと同時に、薬効までも得ていたとは、先人の知恵には脱帽です。


建物内部には実際に使用されていた家具や資料が並びます

ここは先祖を祀る廟で、日本でいう仏間にあたります  建物本体は中庭を中心に、門に向かった正面に先祖を祀る廟があり、左右翼に書斎や寝室など生活のための部屋が、合計34部屋、ワンフロアに前後2列に並ぶスタイルとなっています。日本では仏間に当たる廟が家の中で最もベストポイントにあるところが、祖先を熱心に敬う中華民族の精神を表しているとのこと。建物内は窓がほとんど無いため昼でも薄暗いのですが、天井が高いおかげで圧迫感は感じません。直射日光が入らないおかげで、夏でも涼しく、また冬も暖かいそうですよ。

各部屋などに置かれている家具は当時林家が実際に使っていたものを展示しています 一部屋ごとの面積は四畳半程度で、主寝室などはベットと鏡台で、もう満杯といった感じです。これは一部屋一部屋を小さくすることにより壁の数を多くし、屋根を支えるという効果があるそうです。

螺鈿細工が施された鏡台  各部屋には実際に林家で使用されていた家具や、台所道具などが置かれ、当時の生活風景が再現されています。ベッドや鏡などは一見、シンプルに見えながらも、高価な紫檀(ローズウッド)に細かな螺鈿細工が施されていたりと、ため息ものの豪華さ。一方、使用人用の食卓や、食器棚は飾り気のない質実剛健なものが中心でした。

壁やドアには龍や鳳凰、桃や蓮の花など様々な縁起の良い彫刻や模様が描かれています 壁やドアにはいたるところに龍や鳳凰、桃や蓮の花といった縁起の良い模様が描かれたり、彫刻がなされており、これは先祖を敬う意味もあるのだとか。それを丁寧に見ていくだけで、時間があっという間に過ぎてしまいます。

 また当時の食事を再現したロウ細工や、衣服や人形、農機具なども展示されており、民俗学的な興味がわいてきます。一軒の家がそのものが芸術作品であると言っても過言では無いこの林安泰古厝。ぜひゆっくりと時間をとって、見学していただきたいポイントです。



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