豪華絢爛な大殿 1969年に竣工された忠烈祠は、大門、中央広場、鐘楼、鼓楼、山門、大殿、文烈士祠、武烈士祠で構成されています。大門、広場、山門は、白い石がベースのシンプルなデザインで、静かで神聖な雰囲気が漂っています。これとは対照的に大殿や鐘楼は、中国宮殿様式を採用。赤い柱と豪華絢爛な彫刻が印象的で、北京の紫禁城がモデルとなっているそうです。 この華やかさは英霊を祀る場に不釣合いでは?と、思う人もいるかもしれませんが、あくまでも荘厳な空気が漂い、人を無口にさせる力がこの空間に確かに存在しています。 大殿は圧倒されるほどの大きさで、警備に立つ2人の衛兵がおもちゃに見えるほど。どの建物もぴかぴかに磨き上げられ、山門扉に並ぶ金の球などは、日の光を反射してまぶしいぐらいです。台湾の人々の、英霊に対する尊敬の念の表れなのでしょう。
衛兵交代 さて、忠烈祠といえば衛兵交代が有名。陸、空、海軍から選ばれた衛兵が、交代で大門と大殿の守護を担当しています。青い制服の兵士は空軍、白い制服の兵士は海軍、グリーンの兵士は陸軍にそれぞれ属しているとのこと。任務に就いたら最後、1時間は微動もできず、まばたきも控えるよう指示されるのだとか。そのためお世話係が側に控え、衛兵の汗を拭いたり制服のしわを直したりしてくれるシステムになっています。いずれの衛兵も各軍から選抜されたエリート達とのことで、確かにみな背が高く、顔つきもキリリとしている軍人さんばかりでした。 衛兵交代セレモニーは、毎年3月29日の青年節と、9月3日の軍人節、また台風など悪天候の日を除く毎日、毎時ちょうどに開催されています。毎時になると5人の隊列を組んだ儀杖兵が、大門から大殿に向かって行進を開始します。ビシッと制服を着込んだ儀杖兵が、銃を肩に、一糸乱れぬ様子で行進していく様子に、思わず見とれてしまうことは間違いなし。 観客の間では、テーマパークのパレードでも待つような、わくわくした気分が直前まで漂っていたと言うのに、兵士達の真剣な表情に圧倒され、みな、神妙な表情で隊列の行進を見守るように・・・。軍靴に仕掛けがしてあって、高く上げた足で地面を踏みしめる度に、ガチャン、ガチャン、という金属的な音が静かな空間に響きわたります。 大殿に到着した儀杖兵隊は任務に当たっていた衛兵2名と合流し、殿内の位牌に向かって敬礼。そして銃を交換したり、バトンのように回す一連の儀式を終えた後に、次の担当者2名を残し、また5名の隊列を組んで大門へ戻っていきます。重そうな銃を軽々と高く投げたり、素早くお互いに投げ渡したりする技術は、お見事の一言。全員の息もピタリとあっています。日によっては、観客の間から拍手が沸き起こることもあるそうですよ。 大殿前の儀式は10分ほどで完了しますが、その間ずっと、ピーンと張り詰めた空気が流れています。そして儀杖兵が去った後に、息を詰めていた観光客の、ほうっというため息があちらこちらから聞こえるのでした。